BRAF変異大腸がんでEGFR・BRAF同時阻害を含む三剤治療が有望か:SWOG S1406試験
Randomized Trial of Irinotecan and Cetuximab With or Without Vemurafenib in BRAF-Mutant Metastatic Colorectal Cancer (SWOG S1406)
背景
BRAF変異大腸がんに対してはBRAF阻害剤単独では効果が低いことが明らかになっているが、EGFR阻害剤との組み合わせが検討されている。University of Texas MD Anderson Cancer CenterのKopetzらは、BRAF V600E変異があり転移を有する大腸がん患者を、イリノテカンとセツキシマブに加えてベムラフェニブを併用する群と併用しない群に割り付けるランダム化比較試験SWOG S1406を実施した(n=106)。
結論
無増悪生存期間のハザード比は0.50と、ベムラフェニブ併用群で改善した。奏効率は併用群17%、非併用群4%であり、病勢コントロール率はそれぞれ65%、21%であった。循環血中腫瘍DNAでのBRAF V600E変異アレル頻度の低下は、併用群の87%で認められ(非併用群は0%)、進行時のRAS変異の発生率は低かった。
評価
BRAFのみの阻害は、EGFR経路を介したフィードバックを引き起こすことで有効性が限定されるが、セツキシマブによりこれを阻害することができる。本試験は、イリノテカンとBRAF・EGFR同時阻害により高い病勢コントロール率が達成可能であることを示し、第3相試験へと進んだ。