がん患者全員での遺伝子検査で、8人に一人に遺伝性がん素因変異を検出
Comparison of Universal Genetic Testing vs Guideline-Directed Targeted Testing for Patients With Hereditary Cancer Syndrome
背景
がん素因遺伝子は複数の癌腫において重要な役割を果たすことが知られ、臨床ガイドラインは家族歴や病理学的リスクのある患者での遺伝子検査を推奨しているが、こうしたガイドラインの基準では少なくない素因遺伝子変異が見逃される可能性が指摘されている。Mayo ClinicのSamadderらは、同施設の固形がん治療の一貫として、次世代シーケンスプラットフォームを用いたユニバーサルな生殖細胞変異検査を行い(n=2,984)、病原性生殖細胞変異(PGV)の割合をガイドラインに準拠した検査アプローチと比較した。
結論
PGVは397名(13.3%)で認められ、うち282名では中・高浸透率のがん感受性遺伝子が含まれた。また47.4%では意義不明な変異が検出された。192名(6.4%)で検出された変異は、ガイドライン準拠アプローチでは検出されない臨床的に標的化可能な所見であった。高浸透率PGV検出患者のうち42名(28.2%)で、検査所見に基づき治療の変更が行われた。
評価
選択されないがん患者でのNGSにより、8人に一人の割合で遺伝性がん素因変異が見られること、ガイドラインに準拠した検査アプローチでは多くの変異が見逃されていることを明らかにした。ガイドラインの現代化と、遺伝子検査のアクセシビリティを高める努力が必要である。


