アスピリンによる大腸がん予防、高齢になってから服用開始しても利益はない
Aspirin Use and Risk of Colorectal Cancer Among Older Adults
背景
アスピリンは大腸がんの予防に推奨されているが、高齢者では害が利益を上回る可能性が示唆されている。Massachusetts General HospitalのGuoらは、アメリカの医療従事者コホート研究Nurses’ Health StudyおよびHealth Professionals Follow-up Studyのプール解析を行い、70歳以上の高齢者におけるアスピリン服用が大腸がん発症に与える影響を検証した(n=94,540)。
結論
996,463人年のフォローアップ期間に1,431件の大腸がん発症があった。リスク因子を調整後、アスピリンの常用は、常用以外の服用に比べて、70歳以降の大腸がんリスクを有意に低下させた(ハザード比0.80)。ただしこの相関は、70歳以前からアスピリン服用を開始した服用者でのみ認められた(0.80)。70歳以降からの服用者では大腸がんリスク低下との関連は有意ではなかった(0.92)。
評価
アスピリンが大腸がんに有効なのは、70歳以前から服用を開始していた高齢者に限られた。アスピリンの予防効果は服用期間依存的に増大することが報告されており、本研究の結果もこれに一致するものである。アスピリンによる害を考慮すれば、高齢者が新たに大腸がん予防目的での服用を開始することは推奨されないだろう。


