世界のがん手術需要は今後大きく増加、途上国では外科医・麻酔科医不足が深刻に
Global demand for cancer surgery and an estimate of the optimal surgical and anaesthesia workforce between 2018 and 2040: a population-based modelling study
背景
がんが引き起こす医療需要は世界的に増加しており、今後も増加が続くと考えられるが、医療システムは十分な準備ができているのか。オーストラリアUniversity of New South WalesのPereraらは、臨床ガイドラインに基づくベンチマークを用いて世界183ヵ国における手術適応がん症例の割合を推定、これにGLOBOCAN 2018データから得られた各国の新規がん症例数を乗じて2040年までに必要とされる外科手術数を算定し、これに必要な外科医・麻酔科医の必要労働力を推定した。
結論
世界の手術適応となるがん症例数は、2018年の9,065,000件から2040年には13,821,000件へと500万件(52%)増加すると推定された。外科手術需要が最も大きく増加するのは低所得国(34ヵ国)であった。高所得国の中央値ベンチマークとマッチさせた場合、これら低所得国の外科労働力は4倍、麻酔科労働力は5.5倍に増加させる必要があった。
評価
世界の外科手術件数が今後20年で大きく増加すること、この増加が低所得国における手術労働力の不足をより深刻にすることを明らかにした。低所得国における医療労働力の不足は、グローバルな医療格差の是正を目指す上で避けて通れない課題である。