若年大腸がんの増加、組織型別ではカルチノイドの増加が急
Contributions of Adenocarcinoma and Carcinoid Tumors to Early-Onset Colorectal Cancer Incidence Rates in the United States
背景
近年、若年成人層での大腸がん発症が増加していることが報告されているが、組織型がこの増加にどのように寄与しているかは未明である。Tulane University のMontminyらは、SEER 18の2000-2016年のデータから、組織型・年齢別の若年結腸・直腸がん罹患率を調査した(n=119,624)。
結論
腺がんの年間罹患数(3年平均)上昇が最も急だったのは、20-29歳、30-39歳の直腸腫瘍(それぞれ+39%)、30-39歳の結腸腫瘍(+20%)であり、年率の変化はそれぞれ1.6%、2.2%、1.2%であった。40-49歳でも直腸腫瘍(+16%)、結腸腫瘍(+13%)の増加が見られた。カルチノイドは全大腸がんの4%-20%、直腸がんの8%-34%を占めた。結腸カルチノイドは稀であった。カルチノイドの年間罹患数の上昇は、すべての年齢層で腺がんよりも急速であり、経時的にカルチノイドの割合が増加した。最も顕著であった50-54歳の直腸腫瘍では、2000-2002年から2014-2016年にカルチノイドが159%増加した一方で、腺がんの増加は10%であり、最終的にこの年代の直腸腫瘍の22.6%をカルチノイドが占めた。
評価
若年大腸がん増加というデータは、ACSによる大腸がん検診の推奨開始年齢の引き下げにつながったが、本研究は進行が緩徐なカルチノイドが腺がんより急速に増加している実態を明らかにした。若年大腸がんの増加は白人だけでなくアジア人でも報告されているが(http://doi.org/10.14309/ajg.0000000000000133)、その影響を正確に見極める上でも組織型の分析は欠かせない。