自己免疫疾患のある患者で免疫チェックポイント阻害薬はおおむね安全:オランダで最大のコホート調査
Safety and Efficacy of Checkpoint Inhibition in Patients With Melanoma and Preexisting Autoimmune Disease: A Cohort Study
背景
自己免疫疾患を有する患者に対する免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の使用については、安全性の懸念が存在するが、エビデンスは蓄積途上である。オランダLeiden University Medical Centerのvan der Kooijらは、同国の全国規模コホートDutch Melanoma Treatment Registryに登録されたICI治療を受ける進行悪性黒色腫患者において、自己免疫疾患の有無とICIの安全性・有効性を評価した(n=4,367)。
結論
415名(9.5%)が自己免疫疾患を有し(リウマチ227名、内分泌疾患143名、炎症性腸疾患55名)、うち228名(55%)でICIが投与された。自己免疫疾患患者でのグレード3以上の免疫関連有害事象(irAE)発現率は、抗CTLA-4療法(n=87)で30%、抗PD-1療法(n=187)で17%、併用療法(n=34)で44%であった。自己免疫疾患を有さない患者ではそれぞれ30%、13%、48%であった。自己免疫疾患患者では毒性による抗PD-1療法中止が多く(17% vs. 9%)、炎症性腸疾患患者では抗PD-1療法誘発性大腸炎になりやすい傾向がみられた(19% vs. 3%)。自己免疫疾患の有無による客観的奏効率は、抗CTLA-4療法(10% vs. 16%)、抗PD-1療法(40% vs. 44%)、併用療法(39% vs. 43%)とも同程度であった。生存期間にも差はなかった(13ヵ月 vs. 14ヵ月)。
評価
ICI治療ではirAEが好発することから、多くの臨床試験で自己免疫疾患患者が除外されてきた経緯がある。本研究は、過去最大規模のコホート調査により、自己免疫疾患患者における免疫療法がおおむね安全であることを確認した。ただ炎症性腸疾患の患者では大腸炎など重大な毒性がしばしばみられ、特に綿密なフォローアップが必要であろう。