進行乳頭状腎細胞がんで3種のMET阻害薬をスニチニブと比較、カボザンチニブが他を凌駕:第2相SWOG 1500試験
A comparison of sunitinib with cabozantinib, crizotinib, and savolitinib for treatment of advanced papillary renal cell carcinoma: a randomised, open-label, phase 2 trial

カテゴリー
がん
ジャーナル名
The Lancet
年月
February 2021
397
開始ページ
695

背景

進行した乳頭状腎細胞がん(PRCC)の予後は不良であるが、PRCCではMET活性型がしばしばみられ、MET阻害剤が有望視されている。City of Hope Comprehensive Cancer CenterのPalらは、北米の治療歴1ラインまでの転移PRCC患者を、スニチニブ、カボザンチニブ、クリゾチニブ、savolitinibによる治療に割り付ける第2相ランダム化比較試験SWOG 1500を実施した(n=152)。

結論

クリゾチニブ、savolitinibへの割り付けは、事前に設定された無益性解析の後に中止された。無増悪生存期間(PFS)はカボザンチニブ群9.0ヵ月、スニチニブ群5.6ヵ月と、カボザンチニブ群で延長した(ハザード比0.60)。奏効率はそれぞれ23%、4%であった。クリゾチニブ群、savolitinib群では、スニチニブと比したPFSの改善は見られなかった。グレード3・4の有害事象は、スニチニブ群69%、カボザンチニブ群74%、クリゾチニブ群37%、savolitinib群39%で発生し、カボザンチニブ群では1例のグレード5血栓塞栓イベントが発生した。

評価

期待されていた選択的MET阻害薬savolitinibなどは結果を残せなかったものの、カボザンチニブ群はスニチニブを上回るPFSを示した。スニチニブを置き換える新たな標準治療となりうる。

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取り上げる主なジャーナル(がん)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Journal of Clinical Oncology (JCO)、Journal of the National Cancer Institute(JNCI)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、Cancer Research (Cancer Res)