BRCA以外の相同組換え不全を有する転移乳がんへのオラパリブ
TBCRC 048: Phase II Study of Olaparib for Metastatic Breast Cancer and Mutations in Homologous Recombination-Related Genes
背景
BRCA1とBRCA2における相同組換え機能不全はがんリスクに関連し、PARP阻害薬オラパリブは生殖細胞系列BRCA変異がんに高い有効性を持つことが明らかになっているが、BRCA以外の相同組換え関連遺伝子や体細胞BRCA変異についてはどうか。Beth Israel Deaconess Medical CenterのTungらは、転移乳がんに加えて、BRCA以外の相同組み換え関連遺伝子(コホート1)または体細胞BRCA変異・相同組み換え関連遺伝子変異(コホート2)を有する患者にオラパリブを投与し、有効性を評価する第2相試験TBCRC 048を実施した(n=54)。
結論
76%はER陽性・HER2陰性であった。87%はPALB2、体細胞BRCA1/2、ATM、CHEK2に変異を有した。コホート1の客観的奏効率は33%、コホート2では31%であった。確定した奏効は、生殖細胞系列PALB2変異(ORR 82%)および体細胞BRCA1/2変異(50%)患者でのみ認められた。無増悪生存期間は、生殖細胞系列PALB2変異患者で13.3ヵ月、細胞BRCA1/2変異患者で6.3ヵ月であった。ATM変異単独やCHEK2変異単独の患者では奏効が見られなかった。
評価
生殖細胞系列PALB2変異と体細胞BRCA変異を有する進行乳がん患者でPARP阻害が有効な可能性を示唆した。PARP阻害薬の恩恵を拡げうる知見である。