前立腺がん患者での経皮エストラジオールは心血管毒性を改善せず:PATCH試験
Transdermal oestradiol for androgen suppression in prostate cancer: long-term cardiovascular outcomes from the randomised Prostate Adenocarcinoma Transcutaneous Hormone (PATCH) trial programme
背景
アンドロゲン抑制は前立腺がん治療の中心だが、心血管系の副作用が重大な問題となる。イギリスMRC Clinical Trials Unit at UCLのLangleyらは、同国の局所進行・遠隔転移前立腺がん男性(n=1,694)を、LHRHaまたはエストラジオール・パッチによる経皮投与(tE2)に(当初は1:2、2011年からは1:1で)割り付ける第2/3相試験PATCHを実施し、その長期心血管アウトカムを報告した。
結論
1ヵ月・3ヵ月時点でのLHRHa群で65%・93%、tE2群で83%・93%であった。計157件の事前指定心血管イベントと、10件の検死報告のない突然死があった。致死的な心血管イベント率はLHRHa群で2%、tE2群では1%であり、最初の心血管イベントまでの時間に群間差はなかった(突然死を含むハザード比1.11)。最も多かった有害事象は女性化乳房であり、LHRHa群の38%、tE2群の86%で発生した。ほてりはそれぞれ86%、35%で見られた。
評価
tE2は肝代謝を必要とせず、経口エストロゲンの心血管毒性やLHRHaのエストロゲン減少を避けることができると考えられてきたが、この試験の長期結果はtE2の心血管保護作用を認めなかった。