前立腺がん患者での経皮エストラジオールは心血管毒性を改善せず:PATCH試験
Transdermal oestradiol for androgen suppression in prostate cancer: long-term cardiovascular outcomes from the randomised Prostate Adenocarcinoma Transcutaneous Hormone (PATCH) trial programme

カテゴリー
がん
ジャーナル名
The Lancet
年月
February 2021
397
開始ページ
581

背景

アンドロゲン抑制は前立腺がん治療の中心だが、心血管系の副作用が重大な問題となる。イギリスMRC Clinical Trials Unit at UCLのLangleyらは、同国の局所進行・遠隔転移前立腺がん男性(n=1,694)を、LHRHaまたはエストラジオール・パッチによる経皮投与(tE2)に(当初は1:2、2011年からは1:1で)割り付ける第2/3相試験PATCHを実施し、その長期心血管アウトカムを報告した。

結論

1ヵ月・3ヵ月時点でのLHRHa群で65%・93%、tE2群で83%・93%であった。計157件の事前指定心血管イベントと、10件の検死報告のない突然死があった。致死的な心血管イベント率はLHRHa群で2%、tE2群では1%であり、最初の心血管イベントまでの時間に群間差はなかった(突然死を含むハザード比1.11)。最も多かった有害事象は女性化乳房であり、LHRHa群の38%、tE2群の86%で発生した。ほてりはそれぞれ86%、35%で見られた。

評価

tE2は肝代謝を必要とせず、経口エストロゲンの心血管毒性やLHRHaのエストロゲン減少を避けることができると考えられてきたが、この試験の長期結果はtE2の心血管保護作用を認めなかった。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(がん)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Journal of Clinical Oncology (JCO)、Journal of the National Cancer Institute(JNCI)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、Cancer Research (Cancer Res)