妊孕性温存戦略は乳がんサバイバーの妊娠可能性を高めるか
Reproductive Outcomes After Breast Cancer in Women With vs Without Fertility Preservation
背景
若年性乳がんの診療においては妊孕性の温存が重要なトピックとなるが、妊孕性温存戦略の長期的な妊娠アウトカムを評価した研究はほとんどない。スウェーデンKarolinska InstitutetのMarklundらは、同国の全国コホートから、地域の妊孕性温存プログラムにおいて妊孕性温存治療を受けた乳がん女性(n=425)の出産および生殖補助医療アウトカムを、妊孕性温存治療を受けていない対照乳がん女性(n=850)と比較した。
結論
妊孕性温存治療を受けた女性は、出産経験が少なく、より若年で、ER陽性乳がんが多かった。妊孕性温存治療を受けた女性の22.8%が生児出産を経験し、妊孕性温存治療を受けなかった女性では8.7%であった(調整ハザード比2.3)。妊孕性温存女性の5年・10年累積生児出産率はそれぞれ19.4%、40.7%であった。妊孕性温存治療を受けた女性では、生殖補助医療利用率が高く(調整ハザード比4.8)、全原因死亡率は低かった(0.4)。
評価
妊孕性温存治療は死亡リスクを悪化させることなく、出産の可能性を増加させた。出産を望む若年乳がん女性にとって大きな希望をもたらすデータであろう。

