肺がんでの免疫チェックポイント阻害薬治療、多臓器でのirAEが良好な生存率と関連
Multisystem Immune-Related Adverse Events Associated With Immune Checkpoint Inhibitors for Treatment of Non-Small Cell Lung Cancer
背景
免疫チェックポイント阻害薬による治療を受ける患者では免疫関連有害事象(irAE)がしばしば発症するが、このirAEが治療有効性と関連するという報告が相次いで上がっている。Sidney Kimmel Comprehensive Cancer Center at Johns Hopkins UniversityのShankarらによる世界5施設での後向コホート研究では、単剤または併用による抗PD-(L)1療法を受けた非小細胞肺がん患者における、多臓器irAEと生存期間との関連、irAEの予測因子を調査した(n=623)。
結論
24%が単発のirAEを、9.3%が多臓器irAEを発症した。単剤療法を受ける患者で多かった多臓器irAEの組み合わせとして、甲状腺炎・肺炎、甲状腺炎・肝炎、皮膚炎・肺炎、皮膚炎・甲状腺炎があった。良好なECOGパフォーマンスステータス(調整オッズ比0.27)、免疫チェックポイント阻害薬の治療期間(1.02)は、多臓器irAEの独立リスク因子であった。単発のirAE、多臓器irAEを発症した患者では、全生存期間(それぞれハザード比0.86、0.57)、無増悪生存期間(0.68、0.39)が改善した。
評価
irAEと治療有効性の関連については、日本からも同様の報告がある(http://doi.org/10.1001/jamaoncol.2017.2925)。この研究では治療期間について調整後にも、irAE発症患者で(多臓器でirAEを発症した患者では特に)大きく生存率が改善した。免疫系の活性化を示唆するこの徴候をいかに予測・管理するかがさらに重要となってくる。