急性GVHD予防に糖尿病治療薬シタグリプチンが有効か:第2相試験
Dipeptidyl Peptidase 4 Inhibition for Prophylaxis of Acute Graft-versus-Host Disease
背景
DDP-4(CD26)はグルコース代謝で重要な役割を果たし、DDP-4阻害薬は糖尿病治療に用いられるが、CD26のダウンレギュレーションは移植片対宿主病(GVHD)の予防にも効果があると示唆されている。Indiana University School of MedicineのFaragらは、タクロリムス・シロリムスに加えてDDP-4阻害薬シタグリプチンを併用することで同種幹細胞移植後の急性GVHDを予防しうるかを検証した(n=36)。
結論
100日目までに急性GVHDは、2名で発症した。グレードII-IVのGVHD発症率は5%、グレードIII-IVのGVHD発症率は3%であった。再発以外での1年死亡率は0%、1年再発率は26%、1年慢性GVHD発症率は37%であった。1年時点での無GVHD・無再発生存率は46%であった。
評価
標準的な予防レジメンの元でも3人に一人は急性GVHDを発症するとされるが、この第2相試験ではシタグリプチンにより5%まで発生を抑制しうることが示された。安全かつ安価な既存薬転用アプローチで、第3相RCTに期待がかかる。