がん性悪心・嘔吐への大麻成分THC・CBD追加は有効か:第2相試験
Oral THC:CBD cannabis extract for refractory chemotherapy-induced nausea and vomiting: a randomised, placebo-controlled, phase II crossover trial
背景
近年大麻の医療利用が欧米を中心に大きな関心を集めているが、化学療法による悪心・嘔吐でも有効性が示唆されている。オーストラリアChris O'Brien LifehouseのGrimisonらは、中等度・高度催吐性の化学療法にガイドライン制吐療法にもかかわらず悪心・嘔吐を経験した患者を、テトラヒドロカンナビノール(THC)・カンナビジオール(CBD)またはプラセボにクロスオーバーで各1サイクル割り付け、第3サイクルでは患者の希望治療を行う第2相試験を実施した(n=81)。
結論
0-120時間の完全奏効(嘔吐なしおよびレスキュー薬不使用)率は、THC・CBDで25%、プラセボで14%と、THC・CBDで改善した(相対リスク1.77)。嘔吐なし、レスキュー薬不使用、重度の悪心なし、Functional Living Index-Emesisスコアの各アウトカムも同様の効果を示した。THC・CBD割り付けの31%で、鎮静、浮動性めまい、失見当識などの中等度・重度のカンナビノイド関連有害事象がみられたが、患者の83%は第3サイクルでTHC・CBDを希望した。
評価
大麻成分の服用により、標準的な制吐療法に抵抗性のがん性悪心・嘔吐の改善が認められ、第3相試験へと歩を進めた。現在のところ日本では、医療用大麻解禁に向けた動きは限定的だが、世界的には幅広い適応でアクセスが可能になりつつある。