免疫チェックポイント阻害薬の利かないメラノーマ、便移植で10人中3人に奏効:第1相試験
Fecal microbiota transplant promotes response in immunotherapy-refractory melanoma patients
背景
腸内細菌叢が免疫チェックポイント阻害薬の有効性を左右するとするエビデンスが登場しているが、臨床的応用は可能か。イスラエルSheba Medical CenterのBaruchらは、抗PD-1免疫チェックポイント阻害薬に抵抗性の転移性悪性黒色腫患者において、便細菌叢移植(FMT)後に免疫療法再導入(ニボルマブ)を行う第1相試験を実施し、最初の10名の結果を報告した。
結論
免疫チェックポイント阻害薬で1年以上完全奏効が持続した進行悪性黒色腫患者2名(ドナー1、ドナー2)から便が移植された。前回免疫療法から再導入までの期間は中央値113日であった。FMTに関連した有害事象として、軽度の腹部膨満感が1名で認められた。移植を受けた10名のうち、1名で完全奏効、2名で部分奏効が認められた。この3名はいずれもドナー1からの移植を受けていた。
評価
当然考えられる臨床展開でありマウスレベルでは有効性が示唆されていたが、この第1相は、FMT後に免疫療法抵抗性患者の一部で奏効が生じることを示した。免疫療法が有効であったドナーの便でも、移植後の効果に差がある可能性も示唆されており、興味のつきない第一報である。