ディープラーニングはがん患者の生殖細胞系列変異検査を改善するか
Detection of Pathogenic Variants With Germline Genetic Testing Using Deep Learning vs Standard Methods in Patients With Prostate Cancer and Melanoma
背景
生殖細胞系列に遺伝子変異を有する患者は1割に満たないが、病原性バリアントの検出が不完全である可能性もある。Harvard UniversityのAlDubayanらは、2010-2017年にヨーロッパで登録された前立腺がん(n=1,072)および悪性黒色腫(n=1,295)の便宜的コホートにおいて、標準的な生殖細胞変異検出法とディープラーニング法を用いた変異検出法を比較する横断研究を実施した。
結論
ディープラーニング法は、標準法よりも多くの病原性バリアントを有する患者を特定し(前立腺がん:198名 vs. 182名、悪性黒色腫:93名 vs. 74名)、感度(前立腺がん:94.7% vs. 87.1%、悪性黒色腫:74.4% vs. 59.2%)、特異度(前立腺がん:64.0% vs. 36.0%、悪性黒色腫:63.4% vs. 36.6%)も高かった。陽性予測値、陰性予測値もディープラーニング法で優った。ACMG 59遺伝子について見ると、ディープラーニング法の感度は、前立腺がんでは標準法に優れなかったが(94.9% vs. 90.6%)、悪性黒色腫では標準法を上回った(71.6% vs. 53.7%)。
評価
ディープラーニング手法は画像診断などで一般化してきているが、これを応用した変異検出が、標準法を上回るパフォーマンスを持つことを示した。がんの遺伝学と精密医療にとって大きな機会となりうる。