BRCA変異若年性乳がん女性の妊娠は安全
Pregnancy After Breast Cancer in Patients With Germline BRCA Mutations

カテゴリー
がん
ジャーナル名
Journal of Clinical Oncology
年月
September 2020
38
開始ページ
3012

背景

乳がん歴のある女性での妊娠は、ホルモン受容体陽性患者も含め安全と考えられているが、BRCA遺伝子変異乳がん患者でのデータは限定的である。イタリアUniversity of GenoaのLambertiniらは、ステージI-IIIのBRCA変異乳がんと診断された40歳以下の女性における、妊娠可能性・安全性を調査する国際コホート研究を実施した。

結論

1,252名の患者が含まれ、うち195名が乳がん後に妊娠を経験した(10年妊娠率19%)。人工中絶は8.2%、流産は10.3%で発生した。出産にいたった150名のうち11.6%で妊娠合併症、先天的異常は1.8%で認められた。フォローアップ期間中央値8.3年で、妊娠女性と非妊娠女性の無病生存期間(ハザード比0.87)、全生存期間(0.88)に有意な差はなかった。

評価

BRCA変異乳がん女性を対象とした過去最大規模の調査で、BRCA乳がん女性の妊娠は安全で、胎児のアウトカムも良好、妊娠による再発の増加も見られないことを確認した。患者とその家族に大きな希望をもたらすデータである。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(がん)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Journal of Clinical Oncology (JCO)、Journal of the National Cancer Institute(JNCI)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、Cancer Research (Cancer Res)