ALK変異肺がんファーストラインでのロルラチニブ、クリゾチニブを上回る:CROWN試験
First-Line Lorlatinib or Crizotinib in Advanced ALK-Positive Lung Cancer
背景
ロルラチニブは高い選択性と脳浸透性を持つ第三世代のALK阻害剤であり、非小細胞肺がん(NSCLC)のセカンドラインで活性を示している。Massachusetts General Hospital Cancer CenterのShawらは、転移に対する全身治療歴のない進行ALK陽性NSCLC患者において、ロルラチニブとクリゾチニブを比較する第3相多国籍ランダム化比較試験CROWNを実施した(n=296)。
結論
12ヵ月無増悪生存率はロルラチニブ群78%、クリゾチニブ群39%であった(ハザード比0.28)。客観的奏功はそれぞれ76%、58%で認められた。評価可能な脳転移を有する患者での頭蓋内奏効率は、ロルラチニブ群82%、クリゾチニブ群23%であり、ロルラチニブ群の71%は頭蓋内完全奏効であった。ロルラチニブ群で好発した有害事象には高脂血症、浮腫、体重増加、末梢神経障害、認知変化があり、ロルラチニブ群ではグレード3・4の有害事象が多かった(72% vs. 56%)。有害事象による治療中止はそれぞれ7%、9%で発生した。
評価
既存のALK阻害薬に抵抗性となった患者を対象に承認されているが、初回治療においても第一世代を大きく上回る効果を持つことが示された。CNS転移での高い奏効率も印象的であり、ALK陽性肺がんファーストラインにおける新たな標準治療となりうる。


