ラマダンの断食はがんを抑制するか
Intermittent fasting from dawn to sunset for four consecutive weeks induces anticancer serum proteome response and improves metabolic syndrome
背景
断続的断食(間欠的断食とも)は、肥満やメタボリックシンドローム指標の改善につながるほか、がんに対しても抑制的に働くとする報告がある。Baylor College of MedicineのMindikogluらは、ラマダン月に断続的断食を計画している肥満の成人被験者14名において、断食期間の前中後に血清サンプルを収集しプロテオミクス解析を行った。
結論
4週目終了時および終了後1週後には、複数の腫瘍抑制因子とDNA修復遺伝子産物(GP)が倍加した。またこの期間に、腫瘍促進GPレベルが有意に低下していることも示された。さらにインスリンシグナルを調節するタンパクのアップレギュレートによる抗糖尿病性プロテオーム反応と、ヒストンH2Bのアップレギュレートによる抗老化プロテオーム反応も認められた。被験者のBMI、ウエスト周囲長、血圧にも有意な改善が認められた。
評価
ムスリムが年に1度行う一ヶ月にわたる日中の断食が、独自の抗腫瘍効果、抗糖尿病効果を持つことをプロテオミクス解析により明らかにした。著者らは、このタイプの断食では概日リズムのリセットもポジティブな効果を持つ、とみているようだ。