肥満のがん患者ではドセタキセル化学療法の効果が下がる
Differential Benefit of Adjuvant Docetaxel-Based Chemotherapy in Patients With Early Breast Cancer According to Baseline Body Mass Index
背景
タキサン系抗がん剤は化学療法薬剤のうちで最も一般的なものの一つであるが、脂溶性であり患者の脂肪により活性が損なわれる可能性がある。ベルギーKU LeuvenのDesmedtらは、乳がん術後化学療法としてドセタキセル含有レジメンと非ドセタキセルレジメンを比較したBIG 2-98試験の解析により、乳がん患者のBMIとドセタキセルの有効性の関連を評価した(n=2,887)。
結論
非ドセタキセル群では、BMIにより無病生存期間(DFS)・全生存期間(OS)に差はなかった。ドセタキセル群では、過体重でない患者と比して、過体重患者(25≦BMI<30)ではDFSのハザード比1.12、OSハザード比1.27、肥満患者(30≦BMI)ではそれぞれ1.32、1.63と、DFS・OSの短縮がみられた。
評価
肥満はがんによる死亡リスクと関連しているが、抗がん剤の薬物動態活性という意外な経路からも、がん予後に悪影響をもたらしうることが示唆された。現時点で臨床的影響はないが、興味深い仮説生成研究である。


