アメリカでHPV関連肛門がんが増加中:2001〜2015年
Recent Trends in Squamous Cell Carcinoma of the Anus Incidence and Mortality in the United States, 2001-2015
背景
肛門扁平上皮がん(SCCA)は稀ながんであるが、性行動の変化等に伴いアメリカでは70年代以降増加傾向にあるとされている。UTHealth School of Public HealthのDeshmukhらは、US Cancer Statisticsデータを用い、2001年以降の肛門扁平上皮がんの発症率・死亡率のトレンドを調査した。
結論
肛門扁平上皮がんは年2.7%増加しており、特に50歳以上で顕著であった。臨床病期別では、遠隔転移期のSCCAは男性で年8.6%、女性で年7.5%、領域浸潤期のものは4.7%増加しており、限局期のものも男女で1.3〜2.3%増加していた。1946年に生まれた個人と比較すると、1986年頃に生まれた黒人男性はSCCAリスクが4.7倍、60年以降に生まれた白人男性では2.0倍、白人女性では2.1倍となっていた。SCCAによる死亡も、50歳代以降のグループで年3.1%増加しており、発症率ベースの死亡も年1.9%増加していた。
評価
SCCAは肛門がんのうちHPVと関連するサブタイプであり、日本の肛門がんに占める割合は低いとされているが、先進国を中心に発症が増加している。アメリカでの本調査はこの傾向が2000年以降も継続していることを確認した。

