臓器移植は前立腺がんアウトカムを悪化させない
Prostate Cancer Outcomes Following Solid-Organ Transplantation: A SEER-Medicare Analysis
背景
臓器移植後に行われる免疫抑制療法は一部のがんで発症リスクを高めるが、前立腺癌がんにおける死亡リスクとなるかは十分評価されていない。University of ChicagoのLiauwらは、SEER-Medicareデータを用い、遠隔転移を有しない66歳以上の前立腺がん男性(n=163,676)を特定し、臓器移植と前立腺がん死亡・全原因死亡との関連を評価した。
結論
620名(0.4%)が臓器移植を受けており、うち320名は前立腺がん診断前10年以内、300名は診断後5年以内の移植であった。移植コホートにおける10年死亡率は55.7%、前立腺がん特異的死亡率は6.0%であり、傾向スコアによりマッチングされた非移植コホートではそれぞれ42.4%(有意)、7.6%(非有意)であった。調整モデルでは、前立腺がん特異的死亡は移植の有無によって差はなく(ハザード比0.88)、治療による差も認められなかった。低リスク特徴を持つ334名でも、治療による差はなかった。
評価
移植患者では死亡率が高まったものの、前立腺がんによる死亡が増加することはなく、がんの治療方法(局所治療か積極的監視か)によっても差は生じなかった。移植患者であっても、通常と異なるがん管理を必要としないことが示唆される。