「予期しない体重減少」はがんのリスクか?:英プライマリケア調査
Prioritising primary care patients with unexpected weight loss for cancer investigation: diagnostic accuracy study
背景
プライマリケアにおける調査では、成人の1.5%で予期しない体重減少(unexpected weight loss)が報告されており、がん診断との関連が注目されている。イギリスUniversity of OxfordのNicholsonらは、Clinical Practice Research Datalinkの電子カルテ記録とNational Cancer Registration and Analysis Serviceのデータを用いて、予期しない体重減少(6ヵ月以内に5%以上の減少)がみられた成人(n=63,973)におけるがん診断を定量化した。
結論
女性が58.2%、60歳以上が51.8%であった。予期せぬ体重減少がみられた成人の1.4%が、6ヵ月以内にがんと診断された。50歳以上の有喫煙歴男性では、陽性的中率が3%を超えた。体重減少に加えて、男性では非心原性胸痛(陽性尤度比1.86)から腹部腫瘤(6.10)まで10種、女性では腰痛(1.62)から黄疸(20.9)まで11種の臨床特徴ががんと関連した。血液検査では、アルブミン低値(4.67)、血小板高値(4.57)、カルシウム高値(4.28)、総白血球数増(3.76)、CRP高値(3.59)ががんに関連した。またがんを除外しうる正常結果はなかった。
評価
予期せぬ体重減少後のがん診断は2%以下で、全体としては顕著ながんリスクではなかった。ただし併存するリスク因子がある場合には、より詳しい検査を要するだろう。