中間リスク早期乳がん患者での認知機能障害、内分泌療法のみでも:TAILORx試験の患者報告認知アウトカム
Patient-Reported Cognitive Impairment Among Women With Early Breast Cancer Randomly Assigned to Endocrine Therapy Alone Versus Chemoendocrine Therapy: Results From TAILORx
背景
TAILORx試験は、HR陽性・HER2陰性の乳がん女性で21遺伝子アッセイ(Oncotype DX)による再発スコアに基づく治療選択を検証した臨床試験で、中間リスク(スコアが11〜25)患者でも化学療法が省略可能であることを示した。Wake Forest School of MedicineのWagnerらは、同試験の中間リスク患者においてFACT-Cog質問票による認知障害の評価を行い、内分泌療法単独または化学内分泌療法との関連を検証した(n=552)。
結論
両群のFACT-Cog PCIスコアは、3ヵ月、6ヵ月、12ヵ月、24ヵ月、36ヵ月のいずれの時点でも、ベースラインより低下していた。PCIスコアの変化は、3ヵ月、6ヵ月時点では化学内分泌療法群で大きかったが、12ヵ月以降には差はなかった。
評価
化学療法追加群では早期から、内分泌療法単独群でも徐々に認知機能の低下が現れた。化学療法による認知機能低下、いわゆるケモブレインのような「エンドクリン・ブレイン」を示唆している可能性もあり、さらなる研究に値する。