肺がん免疫療法時の急速な腫瘍増大(Hyperprogressive Disease)、予後不良と関連するのは?
Clarification of Definitions of Hyperprogressive Disease During Immunotherapy for Non-Small Cell Lung Cancer
背景
免疫チェックポイント阻害薬は各種がんの治療に大きな前進をもたらしたが、一部患者では「hyperprogressive disease(HPD)」と呼ばれる急速な腫瘍増大がみられることも報告されている。フランスUniversite Paris-SaclayのKasらは、同国8施設でPD-1/PD-L1阻害治療を受けた振興費小細胞肺がん患者の後向コホートにおいて、既存のHPD定義と不良アウトカムとの関連を評価した(n=406)。
結論
HPDの発生率は、定義により5.4%~18.5%と幅があった。異なる定義ごとの一致率は33.3%~69.3%であった。いずれの定義においても、HPDは短い生存期間と関連した(全生存期間中央値3.4ヵ月~6.0ヵ月)。治療前後の腫瘍増大率tumor growth rateの差(ΔTGR)が不良アウトカムと最も相関しており、HPDとHPDでない腫瘍増大とをよく弁別した。弁別のための閾値は100以上が最良であった。
評価
免疫療法における重大問題であるが、これまで確立された定義は存在しなかった。この研究では新たな定義ΔTGRが提案され、前向に検証されれば大きな臨床的意義がある。