がんと新型コロナ(COVID-19):CCC19コホート研究
Clinical impact of COVID-19 on patients with cancer (CCC19): a cohort study
背景
新型コロナウイルスSARS-CoV-2感染によるCOVID-19では、併存疾患が予後不良因子とされているが、がん患者にフォーカスしたデータは不足していた。アメリカAdvanced Cancer Research GroupのKudererらは、COVID-19 and Cancer Consortium(CCC19)データベースに、2020年3月17日から4月16日にベースラインデータが登録されたアメリカ・カナダ・スペインの重症SARS-CoV-2患者の特徴・予後因子を報告した(n=928)。
結論
乳がん患者(21%)と前立腺がん患者(16%)の割合が高かった。39%が抗がん剤治療中で、43%が非寛解がんであった。解析が行われた5月7日時点で121名(13%)が死亡していた。30日死亡率と関連する独立因子として、年齢(10歳増ごとにオッズ比1.84)、男性(オッズ比1.63)、喫煙歴(1.60)、併存疾患(2つの併存疾患でオッズ比4.50)、ECOGパフォーマンスステータスが2以上(3.89)、非寛解(進行がんでオッズ比5.20)、アジスロマイシン+ヒドロキシクロロキンの投与(2.93)があった。カナダ・アメリカ中西部在住は死亡率低下と関連した。人種・肥満・癌種・抗がん剤・手術については関連が見られなかった。
評価
すでに2000人分を超える、がんとCOVID-19に関する最も包括的なデータベースである。抗がん剤治療を受けるCOVID-19患者について報告したイギリスからの併載論文(https://doi.org/10.1016/S0140-6736(20)31173-9)と合わせて、COVID-19患者でのがん治療が死亡率に有意な影響を与えないことを確認した。