HER2陽性胃がんサードラインでのtrastuzumab deruxtecan、生存期間延長:第2相DESTINY-Gastric01試験
Trastuzumab Deruxtecan in Previously Treated HER2-Positive Gastric Cancer
背景
Trastuzumab deruxtecan(DS-8201)は、抗HER2抗体とトポイソメラーゼI阻害薬からなる抗体‐薬物複合体(ADC)で、乳がんや消化器がん、肺がんなどで検証が進んでいる。日本National Cancer Center Hospital East(国立がん研究センター東病院)のShitaraらは、トラスツズマブを含む2ライン以上の治療歴を持つHER2陽性の進行胃がん患者に、trastuzumab deruxtecanまたは主治医選択の化学療法を2:1で割り付ける第2相ランダム化比較試験を実施した(n=187)。
結論
客観的奏効率は、trastuzumab deruxtecan群51%、化学療法群14%であった。全生存期間はtrastuzumab deruxtecan群が12.5ヵ月、化学療法群8.4ヵ月と、trastuzumab deruxtecan群で延長した(ハザード比0.59)。グレード3以上の有害事象として、好中球減少、貧血、白血球減少が多く見られた。Trastuzumab deruxtecan群の12名で、関連の間質性肺疾患・肺炎が認められた。またtrastuzumab deruxtecan群の1人が治験薬関連で死亡した。
評価
Trastuzumab deruxtecan群では半数が1年を超えて生存した。トラスツズマブ治療歴のある胃がん患者での新たなオプションとして期待される。他薬剤との併用を検証する第1b/2相試験DESTINY-Gastric03も計画されている(NCT04379596)。また大腸がんでのDESTINY-CRC01試験も有望結果を示している。