子宮頸がんでの低侵襲根治術はリスクなのか:多施設後向レビュー
Recurrence Rates in Patients With Cervical Cancer Treated With Abdominal Versus Minimally Invasive Radical Hysterectomy: A Multi-Institutional Retrospective Review Study
背景
早期子宮頸がんに対する腹腔鏡またはロボット支援による低侵襲手術は近年採用が広がってきたが、LACC試験で開腹術に劣ることが示され、その地位は動揺している。University of MichiganのUppalらは、根治的子宮全摘術を受けたステージIA・IB1患者を対象とする多施設後向レビューにより、開腹手術と低侵襲手術の無病生存期間を比較した(n=815)。
結論
29.1%が開腹術、70.9%が低侵襲手術を受けた。再発は開腹術群で7.5%、低侵襲手術群で9.1%であった。リスク調整解析でも、低侵襲手術は再発リスクであった(ハザード比1.88)。全生存期間に有意な差はなかった(調整ハザード比1.01)。傾向スコアマッチング解析では、低侵襲手術群で再発リスクが高かった(ハザード比2.83)。
評価
LACC試験の結果は大きな驚きをもたらしたが、アメリカ教育医療施設での本調査も低侵襲手術が再発を増加させることを確認した。日本ではLACC試験結果を受けて産科婦人科学会が「低侵襲手術群の有効性が完全に否定されたと結論づけることはできない」との声明を出しているが、エビデンスによって裏書きされる必要がある。