抗酸化サプリをとっている乳がん患者は死亡リスクが高い
Dietary Supplement Use During Chemotherapy and Survival Outcomes of Patients With Breast Cancer Enrolled in a Cooperative Group Clinical Trial (SWOG S0221)
背景
多くのがん患者が治療中に栄養補助サプリメントを使用していることが報告されているが、有効性・安全性に関するデータは乏しい。Roswell Park Comprehensive Cancer CenterのAmbrosoneらは、シクロホスファミド、ドキソルビシン、パクリタキセルの化学療法にランダム割り付けされた乳がん患者(n=1,134)において、登録時・治療中のサプリメント使用とアウトカムとの関連を調査した。
結論
治療前と治療中に抗酸化サプリ(ビタミンA、C、E、カロテノイド、コエンザイムQ10)を使用している場合、6ヵ月時点での再発リスクが増加し(調整ハザード比1.41)、死亡リスクとも関連した(1.40)。治療前のみ、治療後のみの使用では関連はなく、個別のサプリについても有意な関連はなかった。非抗酸化サプリでは、治療前+治療中のビタミン12が無病生存率(1.83)・全生存率(2.04)の低下と関連し、治療前+治療中の鉄の使用も再発増と関連した(1.91)。マルチビタミンは生存アウトカムと関連しなかった。
評価
抗酸化サプリのがん予防効果を検証した古典的なCARET試験では、肺がん発症率が上昇する結果となっている(http://doi.org/10.1056/NEJM199605023341802)。本研究は、RCT参加患者での観察研究で、サプリ使用者数も多くはなかったが、抗酸化サプリの有害性を示唆する先行エビデンスと一致する。がん患者でのサプリ利用はより慎重に判断される必要がある。