乳がん治療が雇用に与える影響は:フランス
Impact of Breast Cancer Treatment on Employment: Results of a Multicenter Prospective Cohort Study (CANTO)
背景
治療の向上に伴い乳がん生存率も改善しており、乳がん患者の多くで長期的に社会生活を送ることが可能となっている。フランスUniversite de ParisのDumasらは、57歳以下(法定退職年齢まで5年以上)で就業中のステージI-III乳がん患者の前向コホート(n=1,874)から、診断2年後の就業状況と関連する因子を調査した。
結論
診断2年後の時点で21%が復職していなかった。化学療法・トラスツヅマブ併用を受けていた患者では、非復職率が高かった(化学療法・内分泌療法併用患者と比してオッズ比2.01)。診断1年後の毒性(CTCAEグレード3以上, オッズ比1.59)、上肢合併症(1.59)、不安(1.47)、抑うつ(2.29)も、非復職と関連した。
評価
多くの乳がん患者で社会生活への復帰が可能となっているものの、患者の就労状況に関するエビデンスは充実していない。このフランスからの前向研究は、乳がん治療と合併症が就労復帰に与える影響を詳細に明らかにした。サポート戦略の確立に向けた重要なデータとなる。