血液中の微生物で幅広い癌を識別可能に
Microbiome analyses of blood and tissues suggest cancer diagnostic approach
背景
微生物叢(マイクロバイオーム)解析の進歩により、無菌環境と考えられてきた腫瘍の発生・増殖にさまざまな微生物が関与している可能性が明らかにされている。University of California San DiegoのPooreらは、The Cancer Genome Atlas(TCGA)の未治療がん患者から得られた33癌種18,116サンプルの、全ゲノム・全トランスクリプトーム解析データの再調査から、特定のがんと対応する微生物パターンを明らかにし、患者血液の微生物データのみから癌腫を特定する機械学習モデルを開発した。
結論
シーケンシング・リードの7.2%は、非ヒト由来に分類された。すでに知られている消化器がんとフソバクテリウム、子宮頸がんとパピローマウイルスなどのほかに、Faecalibacteriumと大腸がんなど新たな微生物パターンも発見された。さらに患者血液中の微生物特徴を調査、血中の微生物DNAから癌種を予測しうる可能性を示した。実際に血漿のcell-free微生物核酸のみから、健常者(n=69)と前立腺がん・肺がん・悪性黒色腫(100サンプル)を区別し得た。
評価
マイクロバイオームが多様なタイプのがんと関連し、血中微生物DNAからステージI・II段階のがんを予測可能であることを示した。リキッドバイオプシーの可能性、さらにこうした微生物がそれぞれのがんでどのような役割を果たしているか、など発展性は大きい。