乳がん術後のリンパ浮腫にロボット支援手術が登場
First-in-human robotic supermicrosurgery using a dedicated microsurgical robot for treating breast cancer-related lymphedema: a randomized pilot trial

カテゴリー
がん
ジャーナル名
Nature Communications
年月
February 2020
11
開始ページ
757

背景

早期乳がん患者の多くが術後のリンパ浮腫に苦しむが、リンパ管静脈吻合術(LVA)などの外科的治療には高度な技量が必要とされる。オランダMaastricht University のvan Mulkenらは、乳がん関連リンパ浮腫女性(n=20)を、supermicrosurgeryリンパ管再建術のために開発されたロボット支援システム(MUSA)を用いたLVA、または通常のLVAに割り付けるランダム化パイロット研究を実施した。

結論

ロボット支援LVA群のうち2名が、技術的問題から通常のLVAを受けた。顕微外科医による各吻合部の評価は、通常LVA群で高かった。吻合一ヵ所あたりに要した時間の平均はロボットLVA群で長かったが、ロボットLVA群の吻合時間は徐々に短縮した。術中の患者の利便性、術者の満足度に差はなかった。1ヵ月・3ヵ月時点でのLymph-ICFスコアにも有意な差はなかった。

評価

術者の慣れの問題もあってか、ロボット支援群の方が吻合に時間を要したものの、ロボット支援LVAが臨床的にフィジブルであることを実証した。ロボットにより個人的技量を補うことが可能となれば、より多くの患者にLVAオプションがもたらされると期待できる。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(がん)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Journal of Clinical Oncology (JCO)、Journal of the National Cancer Institute(JNCI)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、Cancer Research (Cancer Res)