造血細胞移植でも腸内細菌叢の多様性がアウトカムに影響
Microbiota as Predictor of Mortality in Allogeneic Hematopoietic-Cell Transplantation
背景
腸内細菌叢と腫瘍学アウトカムとの関連がホットトピックとなっているが、同種造血細胞移植後の臨床アウトカムでもこの関連がみられるという報告がある。Memorial Sloan Kettering Cancer CenterのPeledらは、米独日4ヵ所の治療センターで同種造血細胞移植を受けた患者(n=1,362)の便サンプルを用い、腸内細菌叢の多様性と死亡率との関連を調査した。
結論
8,767個の便サンプルがプロファイル化され、多様性の喪失と単一taxaの支配という細菌叢破壊パターンが確認された。腸内細菌叢の多様性が高い患者では、死亡リスクが低かった(ニューヨーク施設コホートの調整ハザード比0.71、他3施設のハザード比0.49)。サブグループ解析では、腸内多様性の低さは、移植に関連した死亡および移植片対宿主病による死亡リスクと関連した。
評価
多国籍での検証により、細菌叢組成の地理的ばらつきや施設ごとの抗菌戦略の差を超えて、知見が再現されることを確認した。さらに腸内細菌叢の破壊が、移植関連死、GVHD関連死に関わっていることも示された。今後、細菌叢のマーカー化や細菌叢破壊の予防・修復によるアウトカムの改善などが期待される。