トリプルネガティブ乳がん術前化学療法へのペムブロリズマブ追加:KEYNOTE-522試験
Pembrolizumab for Early Triple-Negative Breast Cancer
背景
トリプルネガティブ乳がん(TNBC)は従来治療の効果が薄く、免疫チェックポイント阻害薬が特に期待されている領域である。イギリスBarts Cancer InstituteのSchmidらは、ステージIIまたはIIIの未治療TNBC患者での術前化学療法(パクリタキセル、カルボプラチン)に追加して、ペムブロリズマブまたはプラセボを2:1で割り付ける第3相ランダム化比較試験KEYNOTE-522を実施した(n=1,174)。
結論
602名がランダム化された時点での第1回中間解析では、病理学的完全奏効率は、ペムブロリズマブ群64.8%、プラセボ群51.2%であった。フォローアップ期間中央値15.5ヵ月での、病勢進行率はペムブロリズマブ群7.4%、プラセボ群11.8%であった(ハザード比0.63)。グレード3以上の治療関連有害事象発生率はペムブロリズマブ群78.0%、プラセボ群73.0%で、それぞれ3名、1名が死亡した。
評価
術前補助治療として初めて化学療法への追加利益を示した。PD-L1陰性患者でも奏効率が高い傾向がみられたことは特筆される。一方、IMpassion130試験でTNBCでは初の第3相有効性を示したアテゾリズマブだが、術前治療セッティングでのNeoTRIPaPDL1試験では奏効率の改善を示せなかった。