抗菌薬は免疫チェックポイント阻害薬の効果を弱める:前向コホートで確認
Association of Prior Antibiotic Treatment With Survival and Response to Immune Checkpoint Inhibitor Therapy in Patients With Cancer
背景
免疫チェックポイント阻害薬の有効性が、抗菌薬の使用によって左右されるという示唆がある。イギリスImperial College LondonのPinatoらは、免疫チェックポイント阻害薬を受ける患者を含む多施設・前向コホートにおいて、広域抗菌薬の使用と全生存期間・治療奏効との関連を調査した(n=196)。
結論
免疫チェックポイント阻害薬を受ける以前の抗菌薬使用は、全生存期間の悪化と関連した(2ヵ月 vs. 26ヵ月、ハザード比7.4)。免疫チェックポイント阻害薬と同時の抗菌薬使用については関連は見られなかった。治療前の抗菌薬使用と生存率との関連は、非小細胞肺がん、悪性黒色腫、その他のがんで一貫していた。多変量解析でも、治療前の抗菌薬使用は腫瘍部位・疾患負荷・PSと独立して全生存期間の悪化と関連した(ハザード比3.4)。
評価
腸内細菌叢が抗PD-1療法の有効性を左右することを示唆した先行研究での関連(http://doi.org/10.1126/science.aan3706)を、実臨床下で確認した。便移植が抗腫瘍免疫を改善するという研究もあり、検証が求められる。