非がん治療薬から抗がん作用を持った薬を探す:約50種の候補薬を発見
Discovering the anticancer potential of non-oncology drugs by systematic viability profiling
背景
近年の新薬開発費用の高騰を受けるように、ドラッグリポジショニング(既存薬再開発)への注目はますます高まっている。Broad Institute of MIT and HarvardのCorselloらは、Drug Repurposing Hubライブラリから得られた4,518種の候補薬を、ほぼ全ての癌腫を網羅する578のヒトがん細胞株で分子バーコード法(PRISM)によりスクリーニングした。
結論
PRISMスクリーニングにより、予測性と選択性をそなえた49種の非がん治療薬が同定された。選択性のカットオフ値を下げる(二峰性係数 >0.35)と103種まで広がった。この中には、バナジウム化合物、アルコール依存症治療薬ジスルフィラム、さらにイヌで使用される抗炎症薬tepoxalinなどが含まれた。
評価
新たに創刊されたNature Cancer誌での報告である。リポジショニング候補を偶然によらず発見することを目指した研究で、すでに抗がん作用についての検証が進められているジスルフィラムを含め、50近い既存化合物でがん細胞への活性を発見した(https://depmap.org/repurposing)。


