潰瘍性大腸炎の大腸がんリスクは今も高い:スカンジナビアのコホート研究
Colorectal cancer in ulcerative colitis: a Scandinavian population-based cohort study
背景
潰瘍性大腸炎(UC)は大腸がんリスクとして確立しているが、現代の治療の進歩はこのリスクにどのような影響を与えているのか。スウェーデンKarolinska InstitutetのOlenらは、デンマーク(n=32,919)・スウェーデン(n=63,528)のUC患者を一般集団(n=949,207)とマッチングさせ、UC患者における大腸がん発症・死亡リスクを評価した。
結論
フォローアップ期間中、UC患者では1000人年あたり1.29件、対照集団では0.82件の大腸がん発症があった(ハザード比1.66)。大腸がん死亡はそれぞれ1000人年あたり0.55件、0.38件であった(1.59)。UC患者の大腸がんステージは一般集団よりも低い傾向にあった。最近5年(2013〜2017年)のUC患者の大腸がん発症、死亡リスクは低下傾向にあった(それぞれハザード比1.38、1.25)。
評価
近年に限れば、UC患者の大腸がんリスクは低下傾向にあったが、なお一般集団より高かった。現行のサーベイランス戦略には改善の余地がありそうである。