ベビーパウダーの使用は卵巣がんリスクなのか
Association of Powder Use in the Genital Area With Risk of Ovarian Cancer
背景
ベビーパウダーは多くの場合タルクを原材料として含むが、タルクへのアスベストの混入がしばしば問題となっている。アメリカNational Institute of Environmental Health SciencesのO’Brienらは、同国の4つの大規模コホートからプールされたデータ(N=257,044)を用い、会陰部でのパウダー使用と卵巣がん発症との関連を検証した。
結論
38%が会陰部へのパウダー使用を報告し、10%は20年以上、22%は週1回以上の使用を報告した。中央値11.2年のフォローアップ期間中、2,168名が卵巣がんを発症した。非使用者と比較して、パウダー使用女性での卵巣がん発症のハザード比は1.08、週1回以上使用した女性では1.09、長期使用女性では1.01といずれも有意な差はなかった。ただし子宮摘出または卵管結紮を行っていない女性では、パウダー使用と卵巣がんの正の関連が認められた(1.13)。
評価
アメリカではJ&J社がパウダーの健康リスクを隠してきたとして高額の賠償を命ぜられたり、最近でもアスベストの混入により製品回収が行われるなど、大きな公衆衛生トピックとなっている。前向データを用いたこの調査では、有意な関連はおおむね認められなかった。パウダーのリスクは存在したとしてもかなり小さいものとみられる。