ベビーパウダーの使用は卵巣がんリスクなのか
Association of Powder Use in the Genital Area With Risk of Ovarian Cancer

カテゴリー
がん
ジャーナル名
The Journal of the American Medical Association
年月
January 2020
323
開始ページ
49

背景

ベビーパウダーは多くの場合タルクを原材料として含むが、タルクへのアスベストの混入がしばしば問題となっている。アメリカNational Institute of Environmental Health SciencesのO’Brienらは、同国の4つの大規模コホートからプールされたデータ(N=257,044)を用い、会陰部でのパウダー使用と卵巣がん発症との関連を検証した。

結論

38%が会陰部へのパウダー使用を報告し、10%は20年以上、22%は週1回以上の使用を報告した。中央値11.2年のフォローアップ期間中、2,168名が卵巣がんを発症した。非使用者と比較して、パウダー使用女性での卵巣がん発症のハザード比は1.08、週1回以上使用した女性では1.09、長期使用女性では1.01といずれも有意な差はなかった。ただし子宮摘出または卵管結紮を行っていない女性では、パウダー使用と卵巣がんの正の関連が認められた(1.13)。

評価

アメリカではJ&J社がパウダーの健康リスクを隠してきたとして高額の賠償を命ぜられたり、最近でもアスベストの混入により製品回収が行われるなど、大きな公衆衛生トピックとなっている。前向データを用いたこの調査では、有意な関連はおおむね認められなかった。パウダーのリスクは存在したとしてもかなり小さいものとみられる。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(がん)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Journal of Clinical Oncology (JCO)、Journal of the National Cancer Institute(JNCI)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、Cancer Research (Cancer Res)