胃がんにおけるマイクロサテライト不安定性(MSI)の意義:メタ解析
Individual Patient Data Meta-Analysis of the Value of Microsatellite Instability As a Biomarker in Gastric Cancer

カテゴリー
がん
ジャーナル名
Journal of Clinical Oncology
年月
December 2019
37
開始ページ
3392

背景

マイクロサテライト不安定性(MSI)は胃がんの10%ほどにみられ、良好予後因子であると考えられているが、不明な点が多い。イタリアFondazione IRCCS Istituto Nazionale dei TumoriのPietrantonioらは、切除可能胃がん患者を登録したMAGIC・CLASSIC・ARTIST・ITACA-S試験での患者個別データを用いたメタアナリシスを行い、MSIの予後的価値を検討した。

結論

1,556名でMSIステータスが判明していた。MSI-highは、MSI-lowまたはMSSと比較して5年無病生存率が高く(71.8% vs. 52.3%)、5年全生存率も高かった(77.5% vs. 59.3%)。MSI-low・MSS患者は、(手術単独と比して)手術+化学療法からベネフィットを得たが、MSI-high患者ではむしろ生存率が悪化する傾向が見られた。

評価

MSIは胃がん患者における強力な予後マーカーで、特にアジア系患者では予後的価値が大きかった。また補助化学療法が有効な集団を絞り込む上でも力を発揮するものと思われる。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(がん)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Journal of Clinical Oncology (JCO)、Journal of the National Cancer Institute(JNCI)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、Cancer Research (Cancer Res)