中咽頭がんでの経口腔ロボット支援手術(TORS)、QOLで放射線治療に劣る:第2相ORATOR試験
Radiotherapy versus transoral robotic surgery and neck dissection for oropharyngeal squamous cell carcinoma (ORATOR): an open-label, phase 2, randomised trial
背景
経口腔ロボット支援手術(TORS)は、アメリカにおける中咽頭扁平上皮がん(OPSCC)の主要なオプションとなっているが、ランダム化比較試験によって他のモダリティと比較されたことはない。カナダWestern UniversityのNicholsらは、T1-T2、N0-2のOPSCC患者を、放射線療法またはTORS+頸部郭清に割り付け嚥下関連QOLを比較する第2相ランダム化比較試験ORATORを実施した(n=68)。
結論
1年時点でのMD Anderson Dysphagia Inventory総スコアは、放射線治療群で86.9、TORS群では80.1であった。放射線治療群では好中球減少症、難聴、耳鳴が多く報告され、TORS群では開口障害が多く報告された。TORS群の1名がTORS後の出血により死亡した。
評価
先行研究とは反対に、初のRCTでは放射線治療群でQOLが良いことが示唆された。とはいえ両群の差は「臨床的意義のある差」に達しておらず、概ね同程度とみなしうる。日本では、TORSは現時点で保険収載されていない。