抗菌薬使用は大腸がんリスク?
Oral antibiotic use and risk of colorectal cancer in the United Kingdom, 1989-2012: a matched case-control study
背景
細菌叢の撹乱は大腸がんのリスクとなると考えられているが、抗菌薬への曝露のリスクについてはいまだ十分な研究がない。Johns Hopkins University School of MedicineのZhangらは、Clinical Practice Research Datalinkの大腸がん発症例(n=28,980)とマッチングされた対照例(n=137,077)において、経口抗菌薬使用と大腸がんリスクの関連を評価した。
結論
抗菌薬の使用は結腸がんリスクと用量依存的に関連した。近位結腸、抗嫌気性菌薬でリスクが大きかった。一方、抗菌薬使用と直腸がんリスクは逆相関した。ペニシリン系、特にアンピシリン・アモキシシリンは結腸がんリスクを増加させたが(調整オッズ比1.09)、テトラサイクリンは直腸がんリスクを低下させた(0.90)。抗菌薬とがんとの関連は、診断より10年以上以前の抗菌薬曝露でみられた(1.17)。
評価
抗菌薬と大腸がんの関連は、抗菌薬の種類や大腸がんの部位などによってさまざまであった。観察研究ゆえの交絡の可能性もあるが、発がんメカニズムの差を示唆している可能性もあり、さらなる調査が必要である。


