スタチンの肝がんリスク低下効果は脂溶性スタチンでのみ見られる
Lipophilic Statins and Risk for Hepatocellular Carcinoma and Death in Patients With Chronic Viral Hepatitis: Results From a Nationwide Swedish Population
背景
スタチンの使用は肝がんリスクを低下させるという報告があるが、この効果はスタチンのタイプによって異なるのか。Massachusetts General HospitalのSimonらは、スウェーデンのウイルス性肝炎レジストリからの傾向スコアマッチングコホート(N=16,668)において、脂溶性スタチン・水溶性スタチンの使用と肝細胞がん(HCC)罹患・死亡との関連を評価した。
結論
スタチン非服用者と比較して、脂溶性スタチンの使用は10年HCCリスクを有意に低下させた(8.1% vs. 3.3%、ハザード比0.56)一方、水溶性スタチンでは有意に異ならなかった(8.0% vs. 6.8%、ハザード比0.95)。脂溶性スタチンの肝がんリスク低下効果は用量依存的で、累積600 DDD以上の患者で最も大きかった。10年死亡率は脂溶性スタチン(15.2% vs. 7.3%)・水溶性スタチン(16.0% vs. 11.5%)ともに低下した。
評価
前向コホートでの検証によりスタチンと肝がんとの関係に重要な情報をもたらした。生物学的機序についても研究されており、将来的にはスタチンによる肝がん予防が実践化されるかもしれない。