子宮頸部の細菌叢が卵巣がんリスクに影響する?
Association between the cervicovaginal microbiome, BRCA1 mutation status, and risk of ovarian cancer: a case-control study
背景
ヒトの腸内や口腔内の細菌叢(microbiome)が健康に与える影響は、近年急速に明らかにされつつある。University College LondonのNeneらは、ヨーロッパ5ヶ国の上皮性卵巣がんと対照者(卵巣がんセット、n=360)、およびBRCA変異を有する非卵巣がん女性とBRCA野生型の対照者(BRCAセット、n=220)における症例対象研究を実施した。すべての参加者で頸膣部のサンプルを採集し、細菌叢と卵巣がんリスクの関連が検証された。
結論
コミュニティタイプOの細菌叢を有する割合は、50歳以上では卵巣がん患者(61%)・非がん対照者(59%)とも高かったが、50歳未満では卵巣がん患者(53%)で、非がん対照者(29%)より高かった(オッズ比2.80)。BRCAセットでも、50歳未満のBRCA変異者はコミュニティタイプOの細菌叢を有する割合が高かった(2.79)。
評価
子宮頸部細菌叢のコミュニティタイプが、特に若年者での卵巣がん・BRCA変異と関連することを明らかにした。細菌叢が単なる代理変数なのか、あるいは細菌叢への介入ががんリスクを変更可能なのかは不明であり、今後の研究を待つ必要がある。