進行HER2陽性乳がん三次治療に新規ADC、Trastuzumab deruxtecan:第1相試験
Trastuzumab deruxtecan (DS-8201a) in patients with advanced HER2-positive breast cancer previously treated with trastuzumab emtansine: a dose-expansion, phase 1 study
背景
HER2陽性乳がんには抗HER2抗体による確立された治療戦略があるが、トラスツズマブ エムタンシン(T-DM1)による二次治療後に進行をみた患者での標準ケアはない。日本National Cancer Center Hospital(国立がん研究センター)のTamuraらは、日米8施設の進行HER2陽性固形がん患者でtrastuzumab deruxtecan(DS-8201a)を検証する第1相試験を実施、T-DM1治療歴のある乳がん患者での安全性・活性を報告した(n=115)。
結論
グレード3以上の治療関連有害事象として、貧血、好中球減少、白血球減少、血小板減少があった。19%の患者が一つ以上の重篤有害事象を経験し、2名は肺炎により治療関連死した。客観的奏効は66名で確認された(59.5%)。
評価
HER2抗体とトポイソメラーゼI阻害薬による新たな抗体薬物複合体で、HER2乳がんのサードラインで高い奏効率を示し、すでに複数の第2・3相試験が開始されている(DESTINY試験)。重既治療のHER2陽性胃がん患者での結果も同時に報告されており、奏効率は43.2%であった(https://doi.org/10.1016/S1470-2045(19)30088-9)。