高齢大腸がん患者でのリンチ症候群ユニバーサル・スクリーニングに意義はあるか
Comparison of Universal Versus Age-Restricted Screening of Colorectal Tumors for Lynch Syndrome Using Mismatch Repair Immunohistochemistry: A Cohort Study
背景
欧米では、臨床所見・家族歴を考慮せず、すべての大腸がん患者でリンチ症候群のスクリーニングを実施するユニバーサル・スクリーニングが推奨されている。Kaiser Permanente Northern CaliforniaのLiらは、新規診断大腸がん患者(n=3,891)の後向コホートにおいて、ミスマッチ修復(MMR)IHC反射試験による年齢制限スクリーニングとユニバーサル・スクリーニングの診断率を比較した。
結論
ユニバーサル・スクリーニングの診断率は1.62%で、うち70歳以上は7.9%、80歳以上は1.6%のみであった。スクリーニングの年齢上限を75歳に設定すると、リンチ症候群の4.8%が見逃される一方、必要となるMMR IHC検査は27.1%減少した。80歳に設定した場合、見逃しは1.6%で、検査は17.2%減少した。
評価
リンチ症候群の診断率は、70〜75歳で大きく低下し、80歳以上ではほとんどなかった。ユニバーサル・スクリーニングに年齢制限を加えることは合理的と考えられるが、独立した外部コホートでの検証は不可欠である。