朝型の女性は乳がんリスクが低い
Investigating causal relations between sleep traits and risk of breast cancer in women: mendelian randomisation study
背景
国際がん研究機関(IARC)は概日リズムの混乱を引き起こす勤務シフトを「発癌性がおそらくある」と分類しているが、クロノタイプ(朝型か夜型か)や睡眠時間との関連はどうか。University of BristolのRichmondらは、UK Biobank前向コホートの乳がん患者7,784名、およびBCAC症例対象研究の乳がん患者122,977名と対照者105,974名において、自己報告のクロノタイプ・不眠症状・睡眠時間と乳がんとの関連を検討した。
結論
UK Biobankでの多変量回帰分析では、朝型は乳がんと逆相関した(カテゴリ一段階あたりハザード比0.95)、睡眠時間・不眠症状との関連はほとんどみられなかった。1サンプルのメンデルランダム化(MR)解析でも、朝型の乳がん保護効果が確認された(0.85)。BCACデータでの2サンプルMRでは、朝型の保護効果に加えて(オッズ比0.88)、睡眠時間増と乳がんリスクの関連(1時間あたりオッズ比1.19)が示唆された。
評価
夜間勤務や夜間の光曝露については研究があるが、クロノタイプと乳がんリスクとの関連はほとんど検討されてこなかった。本研究は朝型で乳がんリスクが低下すること、8時間を超える睡眠がリスクを高めることを示し、公衆衛生問題としての睡眠対策の重要性を強調する。