導入化学療法でトリプルネガティブ乳がんのPD-1阻害感受性を高める
Immune induction strategies in metastatic triple-negative breast cancer to enhance the sensitivity to PD-1 blockade: the TONIC trial
背景
PD-1阻害は多くの癌腫で有効性を示しているが、転移を有するトリプルネガティブ乳がん(TNBC)での奏効率は極めて低い。オランダNetherlands Cancer InstituteのVoorwerkらは、有転移TNBC患者でのニボルマブ投与(n=67)に先立ち、導入療法なし、放射線療法(3×8 Gy)、シクロホスファミド導入療法、シスプラチン導入療法、ドキソルビシン導入療法を行う適応的デザインによる第II相試験を実施した。
結論
客観的奏効率は導入療法なし群17%、放射線照射群8%、シクロホスファミド群8%、シスプラチン群23%、ドキソルビシン群35%であった。シスプラチンまたはドキソルビシンによる導入後には、PD-1/PD-L1とT細胞による細胞傷害に関わる経路など免疫関連遺伝子でのアップレギュレーションがみられた。また免疫関連シグネチャでもアップレギュレーションがみられた。
評価
PD-1・PD-L1阻害に先立つ腫瘍微小環境の調整という概念を初めて検証した試験で、シスプラチン・ドキソルビシンによる2週間の前処置がニボルマブの有効性を高める可能性を示した。本試験の第二部として、ドキソルビシン+ニボルマブとニボルマブ単独を比較する検証が行われている。