5-ARIは前立腺がんの発見を遅らせ、前立腺がん死亡率を上昇させる
Association of Treatment With 5α-Reductase Inhibitors With Time to Diagnosis and Mortality in Prostate Cancer
背景
5α還元酵素阻害薬(5-ARI)は前立腺肥大症の治療に用いられるが、前立腺がんリスクと関連するという報告がある。University of California San DiegoのSarkarらは、前立腺がん診断患者80,875名の集団ベースコホートにおいて、診断前の5-ARIと前立腺がん特異的死亡率およびその他のアウトカムを検討した。
結論
調整PSA値の最初の上昇から前立腺がん診断までの時間は、5-ARI服用者で3.60年、非服用者で1.40年と、5-ARI服用者で長かった。生検時点での調整PSA値、Gleasonスコア8以上の確率、臨床病期T3期以上の確率、リンパ節陽性の確率、転移の確率とも5-ARI服用者で高かった。また、前立腺がん特異的死亡率(部分分布ハザード比1.39)・全原因死亡率(ハザード比1.10)とも5-ARI服用者で高かった。
評価
5-ARIはPSA値を抑制することが知られる。PCPTおよびREDUCE試験では前立腺がん自体は減少した一方、悪性度の高い前立腺がんの増加が見られたが、本研究は5-ARI服用者での診断の遅れがこうした逆説的結果をもたらしている可能性を示唆する。服用者での定期的なPSAモニタリングが求められる。