21遺伝子再発リスクスコアに臨床スコアを加えて予後情報を精緻化する:TAILORx試験の二次解析
Clinical and Genomic Risk to Guide the Use of Adjuvant Therapy for Breast Cancer
背景
TAILORx試験は、HR陽性・HER2陰性・腋窩リンパ節陰性の乳がん患者(n=9,427)で、21遺伝子(Oncotype DX検査)再発リスクスコアに基づくリスク層別化による術後補助化学療法の省略可能性を検証する前向研究で、低リスク患者(スコアが10以下)、中間リスク患者(スコアが11〜25)とも化学療法が省略可能であることを示した。Albert Einstein College of MedicineのSparanoらは、同試験の二次解析から、腫瘍サイズ・病理学的グレードによる臨床的再発リスクが21遺伝子スコアに付加的予後情報をもたらすか検証した。
結論
臨床的リスクは、21遺伝子検査に基づく中間リスク・高リスク患者で遠隔再発を予測した。内分泌療法のみ(低リスク患者、中間リスクで内分泌療法単独群に割り付けられた患者)を受けた50歳以下の女性のうち、低リスク患者の推定9年遠隔再発率は、臨床的リスクに関わらず低く(≦1.8%)、中間リスク患者では臨床的リスクが低い患者で低かった(4.7%)。一方で、中間リスク患者でも臨床的リスクが高い患者では再発リスクが高かった(12.3%)。また高リスク患者の再発率は、化学内分泌療法を受けたにもかかわらず高かった(15.2%)。
評価
昨年の報告では、中間リスク患者の内分泌療法単独と化学内分泌療法の成績は変わらなかったが(http://doi.org/10.1056/NEJMoa1804710)、臨床・病理学的リスク評価との統合により、特に50歳以下閉経前女性での治療選択に有益な情報がもたらされると考えられる。


