複数薬剤を組み合わせて、がんの標的治療をさらに個別化する:I-PREDICT研究
Molecular profiling of cancer patients enables personalized combination therapy: the I-PREDICT study
背景
がん治療では患者ごとの遺伝子・免疫標的への治療が一般化しているが、通常は一人の患者に対し、一つの治療標的に対応した単一の薬剤が使用される。University of California, San DiegoのSicklickらは、既治療の進行がん患者(n=149)において、腫瘍DNAシーケンシングの結果に基づく個別カスタマイズされた多剤併用レジメンがアウトカムを改善するか検証した。
結論
既に治療困難または死亡していた66名をのぞいた83名(56%)のうち、73名がカスタマイズ治療を受けた(10名はマッチした治療なし)。マッチング率が50%を超えた28名では、疾患制御率(オッズ比3.6)、無増悪生存期間(ハザード比0.34)、全生存期間(0.42)とも、低マッチング患者より良好であった。
評価
精密医療とは言いながら、多くの患者は十分にマッチした薬剤を受けているわけではない。この研究は、より個別化された(多くは2〜5種類の薬剤による)併用治療が可能であり、さらにアウトカム改善にも有効であることを実証した。未検証の併用による安全性の問題など課題は多いものの、がん治療の真の精密化へ向けた重要な一歩となる。