肥満患者では免疫チェックポイント阻害の有効性が増す?
Paradoxical effects of obesity on T cell function during tumor progression and PD-1 checkpoint blockade
背景
肥満はがん発症・死亡の増加と関連するリスク因子と考えられているが、がん治療においては逆説的な効果をもつという報告も存在する。University of CaliforniaのWangらは、T細胞応答やPD-(L)1軸に与える肥満の影響をがんモデルマウスなどで検証、さらにPD-(L)1チェックポイント阻害薬治療を受けたヒトがん患者の臨床アウトカムに与える影響を調査した。
結論
マウスなどのモデルでは、肥満はT細胞を老化させ、PD-1発現の上昇、T細胞機能不全をもたらした。この効果は、(少なくとも部分的には)レプチン伝達経路により媒介された。肥満はまた、代謝的・ホルモン的効果に加え免疫抑制をもたらすことで、腫瘍の進行を加速した。一方、肥満におけるT細胞機能不全は免疫チェックポイント阻害に顕著に反応した。これらの知見は複数のヒトがん患者コホートにおいて確認された。
評価
PD-(L)1療法を受けた多癌腫患者コホートの検証では、BMIが30以上の患者でPFS・OSとも大きく延長した。肥満と免疫療法のこの逆説的な関係は、別研究でも示唆されており(https://doi.org/10.1016/S1470-2045(18)30078-0)、PD-(L)1療法の有効性マーカーとしてさらなる検証が行われるだろう。